風邪明けの街は、知らない世界みたいに色づいていた

風邪明けの街は、知らない世界みたいに色づいていた

2025年11月26日 11:12
日常のおと+
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外に出た瞬間、冷たい空気の中に赤い色が混じっているのがわかった。

 

一週間ぶりの外気は、少しよそよそしい。
風邪でこもっているあいだ、体はぐったりしていたけれど、食欲だけは普段どおりだった。

 

しっかり食べて、しっかり寝て、また食べて。
その繰り返しでなんとか持ち直して、ようやく体の重さが抜けてきた。
咳だけが、まだ残っている。

 

道沿いの木々は、思っていた以上に赤や黄色に染まっていた。
落ち葉の上を歩くと、乾いた音がゆっくり鳴る。
ついこの間までここは緑だった気がするのに、まるで違う場所みたいだ。
私が止まっていたぶんだけ、季節が先に進んだのかもしれない。

 

それでも、お腹が空くのはいつもと同じで、ありがたいことだ。
外のひんやりした空気を吸い込むと、急にあたたかいものが食べたくなる。
体というのは、こういうとき正直だ。

 

今夜は、大根を炊くつもりだ。
輪切りにした大根を並べて、出汁をそっと注ぐ。
火をつけてしばらくすると、鍋の底から“コトッ”と音がする。

 

ふたのすきまから漏れた湯気が、部屋の明かりを少しだけ揺らす。
その光景が好きで、しばらく眺めてしまう。

 

大根の白が、だんだん澄んだ色に変わっていくと、冬の入り口にいる実感がふわっと湧く。

 

七日ぶりの外と、台所の湯気。
どちらにも、少し遅れて追いついた感じ。
私だけ時間がゆっくりだったような、そんな気がする。

 

今日のこの感じも、たぶんすぐに消えてしまうのだろう。
でも今夜は、大根の煮える匂いが、日常をやさしく戻してくれるはず。

冬になると、あなたはどんなものを食べたくなりますか?

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