朝、布団の中で喉の奥をそっと動かしてみた。
痛みはまだわずかに残っているけれど、数日前よりずっと軽い。治りかけの身体は、まるで慎重に歩幅を確かめながら進んでいるみたいだ。
この季節になると、毎年のように体調を崩す。
気温が下がりきらない揺れの時期は、身体のリズムがゆるんだり締まったり、落ち着かない。
今年もやっぱり同じで、体力をごっそり持っていかれる日が続いたけれど、ようやく速度が戻りつつある。
ふと思い出すのは、一昨年のこと。
2023年の LISTEN アドベントカレンダーで、私は12月1日のトップバッターだった。あのときは熱があって、少しふらつきながら収録した。
録音ボタンを押した指が熱っぽくて、部屋の空気がやけに静かだったことまで覚えている。自分の声が、いつもより奥のほうで響いて聞こえた。
だから今年は、同じ失敗をしないように16日にしておいた。
“まぁ大丈夫だろう”と息をついたのに、この風邪のしぶとさは予想外だった。
季節に合わせて暮らしの歩く速さを変えていくのは、どうやら身体だけじゃないらしい。
2025年のトップバッターは、もりっしぃさん と はやつ〜さん。
お二人の名前を見ると、いよいよ始まるなぁという空気が、すっと部屋に流れ込んでくる。12月は、誰かの背中から季節が動き出す感じがして好きだ。
ただ、気がかりがひとつある。
昨夜、息子が「喉が痛い」と言った。その声が、ちょうど数日前の私と同じ響きで胸がきゅっとした。体調の揺れが家の中にそっと広がっていくのを見ると、気持ちの中にも自然と“ゆっくり行こう”というブレーキがかかる。
暮らし全体のテンポが少しずつ変わっていくのがわかる。
風邪が長引くほどではなくても、こういうときの生活はおもしろい。
起きる時間が少し遅くなったり、熱い飲み物をゆっくり飲んだり、夕方に灯りをつけるタイミングが早くなったり。普段より一拍遅れるだけで、世界が少し柔らかく見える。季節が歩みを変えるみたいに、こちらの速度もいつの間にか調整されている。
一昨年の熱の中の収録も、いま思えばそんな“速度の変化”の延長にあった。
思考が曇った状態で話す言葉は、飾りが削ぎ落ちて、心の底のほうから出ていた。ああいう日が混ざるから、暮らしはおもしろいのかもしれない。
息子の喉も、私の喉も、もうすぐ軽くなりますように。
この季節は焦らずに、暮らしのほうが決めたペースに身を任せてみようと思う。
季節の変わり目、あなたは、体調を崩していませんか?
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